KOHSUKE TODA
霞羽織/霞袴/霞筒袖

2023|本着物 綿

「和の衣」、そして「ほんきもの」を経て、自らの名を冠した「KOHSUKE TODA」として発表した着物です。


学生時代、デザインを学んでいく過程で最も衝撃だったことは、まぎれもなく「ふつう」という価値観との出会いでした。奇抜な製品は生活に残りにくく、結局は何気なく買ったものが日用品となり、そんなものこそが生活を支えるものになっていく。奇抜や斬新なものを志向していた当時、この「ふつう」との出会いでデザインの方向性は大きく変化しました。

そして、功を奏したのでしょう。大学二年次以降は課題でトップを取る機会も増え、卒業制作ではデザイン学科のプロダクトコース賞を受賞することができました。しかし大学卒業後、この考えが変わる転機が訪れます。それは、ふつうを提唱していたデザイナーの方々が手掛けているものは、本当にふつうなのだろうかと感じたことがきっかけです。

あくまで個人の、主観的かつ感覚的な捉え方ではありますが、それらは「グローバルスタンダード」であり、この土地にとってのふつうではないと感じるようになりました。それからは、私が思う「本当のふつう」を生み出してみたいと考えるようになり、現在の風土や歴史を尊重するデザイン思想に繋がっています。

考えを深めていく過程では、民藝の思想や建築家なしの建築にみられるような、その土地に根付くものづくりは大いに参考になりました。その上で、私としては、あくまでも私自身の感覚を大切にしています。なぜかと言えば、民芸館の展示品や建築家なしの建築ではあまり暮らしたいとは思えなかったことがあげられます。文明の発達によって必ずしもあらゆる物事が向上しているとは思いませんが、それでも良い面はあります。それらを取捨選択する審美眼こそが、デザイナーに求められる最も根源的な職能なのかもしれません。

私は心の底から「いいもの」を生み出したいと思っています。ものづくりを通して、浮世に寄与できれば幸いです。

販売サイトKOHSUKE TODA
 
デザイン戸田光祐
写真(物撮り)株式会社桃屋美術 春日晃
写真(街撮り)高橋知也
 
2024AWKOHSUKE TODA
2024KOHSUKE TODA
2023KOHSUKE TODA
2019ほんきもの
2017和の衣