感覚のパズル
2014|パズル
MUJI AWARD 04 審査員推薦 受賞
テーマである百年先を見据えるにあたって現在までを振り返り、未来へと繋いでいきたいものを模索しました。
思考の末に、私が着目したのは感覚です。中でも特に「手触り」にフォーカスしました。近年、加工精度の向上の影響から、あらゆるものが「つるつる」になってきているように感じ、指先からしか得られない大切な感受性を失うのではないかと思い、この感覚を育めるようなものを生み出したいと考えた次第です。また、今後も変わらないものとして衣食住があげられますが、「学」も、人間が人間である由縁だと考え、百年後も継続されるだろうという仮説のもと、手触りの感覚を育める知育玩具を提案することと致しました。
49カ国、4824件の応募があったMUJI AWARD 04は、はじめて参加した国際コンペでした。受賞者も当然日本のみならず、香港、台湾、中国、韓国、アメリカ、イギリス、イタリア、メキシコと、さすがグローバルに展開するブランドだと感じました。
審査員も、私からするとオールスターのような存在で、深澤直人さん、原研哉さん、Jasper Morrisonさん、Hartmut Esslingerさんなど、デザインに触れる人間であれば誰もが知っている、そんな凄い方々でした。
表彰式の後にはアフターディナーがあり、皆さんとお話する機会がありました。その中でHartmut Esslingerさんに、つたない英語でデザインする上で大切なことは何かお尋ねしたところ"WHAT IS THE PROBLEM!"というあまりにも明確な答えを頂くことができました。Apple初代デザイン責任者は伊達ではありません。
とても刺激に満ちた、素晴らしい授賞式となりました。
デザイン・制作 | 戸田光祐 |