TODA KOHSUKE

簡素な椅子 / 山口製作所 / 2017

鉄と籐からなる素朴で簡素な椅子。
鉄という素材の特性上、とても丈夫であるからこそ貫きが不要となり、より純度の高い椅子らしい椅子の形を成している。ただし安易に細くしたのではなく、華奢には見えない、視覚的安堵を有した心地の良い厚みを持たせた。

鉄のような丈夫な素材を扱うにあたってよく見かける例として、素材特性上最も細い、あるいは薄い形状にしてしまっているものがあるが、私は削がれた厚みに情緒的価値を感じることが多々ある。だからこそ簡素な椅子を手掛けるにあたっては、主観的感覚において、心地良いと思える太さまで敢えて厚みを持たせた。また、現在ではめずらしく、座面と背もたれには一本一本職人が贅沢に手で籐張りを施している。鉄の枠が湾曲しているため、美しい曲面を有する座面が生まれた。

起点としては、蕎麦屋さんやうどん屋さんなどのお食事処に見られる角ばった椅子に着想を得ている。良く見られる角ばった小さな椅子は、西洋の椅子を日本なりに解釈した椅子の潮流のように感じ、これこそ繋いでいくべき日本の形だと捉え、咀嚼し再解釈した。

柔と剛を併せ持つ日本の椅子


デザイン・写真・映像
戸田 光祐

製作
有限会社山口製作所